2003年の創刊以来、政治、歴史、軍事、文化、社会、環境など多様なジャンルを網羅しながら、“世界のいま„ をテーマ別に解説している「なるほど知図帳 世界」。
図表や写真、そしてもちろん地図を駆使した “目で見て分かる„ ビジュアルなデータブックの制作の舞台裏を、創刊時から編集・制作にご協力いただいているアーク・コミュニケーションズのスタッフの方々にお聞きしました。
“学び意欲„ が高いすべての現代人へ
「なるほど知図帳 世界」の特徴は、読者層にあまり偏りがないことではないかと思います。30歳代から40歳代が中心ですが、小学生・中学生からおじいちゃん・おばあちゃんまで、老若男女を問わず幅広い読者層から毎年反響をいただいています。本の用途も、出張や旅行といった現実的な機会だけでなく “教養を深めるために„ “知的関心の高まりから„ “ニュースを見て疑問を感じたから„ など、さまざまなきっかけで興味を持っていただいているようです。特にこれからビジネスの世界に羽ばたく新社会人や、就職活動を始める学生の方々には、とってもお薦めです。
2012年度版のテーマを決める打ち合わせは、やはり3月11日の東日本大震災にしっかりと向き合う、ということから始めました。世界情勢を解説する本としてどのように3.11を取り上げるべきかについて様々に議論を重ねましたが、結果として、エネルギーについての解説が増えたことは分かりやすい例の一つです。それにとどまらず、今年の「なるほど知図帳 世界」は “世界と日本の関わり„ を意識するようになっています。巻頭の特集「世界の中の日本」や、今年から設けた「ちなみに日本は?」というコラムなど、より “日本という国の世界的な位置づけ„ を意識した内容になっています。
“?„ と “!„ を生むアイデアとデザイン
より分かりやすい誌面づくりを目指して、2012年版もデザインを刷新しています。すっきり明るく、軽やかな印象で、分かりやすさを意識したデザインです。事前にモニター調査を行い、“タイトルを短く„ するなどの細かい改善も行いました。
また、ますます複雑化、多様化する世界情勢に、読者ができるだけ自然に関心が持てるよう、“興味のきっかけ„ をふやす工夫を随所に盛り込んでいます。たとえば「2011・2012年のトピック」という一年を総括する導入ページや、各見開きに登場する「KEY WORD」というコラム、それから先述の「ちなみに日本は?」にもその役目があります。とかくインターネット検索などで、欲しい情報にストレートに到達できる便利な時代ですが、セレンディピティというか、偶然に何かと出会い受動的に何かを知る経験もとても重要だと思います。その意味でも「なるほど知図帳 世界」が、“知ることの始まり„ となるようなメディアであればと思い制作をしています。
全936件!の世界遺産と世界遺産級?の絶景
今年の「なるほど知図帳 世界」には、最新の世界遺産をすべて収録した別冊を付録に付けました。世界遺産は毎年人気の高いコンテンツですが、900件以上ある世界遺産すべてをコメントつきで紹介し、地図ページにもすべて掲載しました。
また、世界遺産に登録されていてもなんら不思議ではないような景勝地を、独自の視点でレポートした「世界の絶景」特集も見ものです。地球が生み出す奇跡的な風景や先人たちの破格の偉業に驚愕必至です。きっと世界遺産ファンの読者にも喜んでいただけると思いますし、逆に、“どうしてこれが世界遺産じゃないんだろう?„ なんて、世界遺産を取り巻く “世界情勢„ について深く考える機会になるかもしれません(笑)。
ライフワーク化する「なるほど」の制作・編集
一年間の世界の出来事を包括するという大きなテーマをもつ「なるほど知図帳 世界」ですから、その制作の比重は、情報収集に置かれているといっても過言ではありません。実際、制作期間より調査期間の方が長いくらいです。
まず、毎年6月ごろ、全体の方向性を決める最初の打ち合わせが行われます。それから7、8月にかけて構成を確定して具体的な取材や執筆などの制作に入り、10月中旬の印刷ギリギリまで内容を精査しています。大まかな流れはそうなのですが、「なるほど知図帳」の担当者は、ほとんどいつでも掲載テーマに取り組んでいるといえます。常に “ネタ帳„ に話題をストックして、それをどう取り上げれば「なるほど知図帳 世界」にふさわしいか、信頼できる情報ソースはどこにあるかなど、問題と日頃から格闘しています。プライベートで書店に行く時も、ついつい海外書籍の品揃えなどをチェックしてしまいますね。
世界中をひっくり返して “信頼できるデータ„ を探す
わたしたちが、テーマを探したり、情報を収集するときに気をつけていることは “初心者の目線„ で考えることです。毎年「なるほど知図帳」を編集していると、つい “知っているつもり„ で説明を省いてしまいがちですが、そこは常に “素朴な疑問„ を大切にしながら取材にあたっています。場合によっては知人や友人にヒアリングして確かめることもありますね。たとえば “「アラブの春」を知ってるか?„ などと尋ねてみて、そこから “そもそもアラブってどの地域なの?„ “どんなものを食べて、どんな服を着ているの?„ などの疑問を拾い出すこともあります。
それから、信頼できるデータにたどり着くことが最も重要ですから、たとえば国連の統計データや世界銀行の発表するデータ、あるいはCIAのデータまで、目をこらして分析しています。基本的にはある一国の発表するデータだけを鵜呑みにしないよう、複数のソースから比較検証したり、何か意図のある加工がされていないか、慎重に見極めつつ参考にしています。ちなみに、これらのデータは公開されているものも多いのでご興味があればご覧になられてはいかがでしょうか。絶滅危惧種をリストアップしたいわゆるレッドリスト(IUCN:国際自然保護連合)などもWeb上で閲覧が可能なので、もし「なるほど知図帳 世界」で興味を持たれたら、自然保護の意識を高めるためにも一度ご覧になることをお薦めします。
ニュースを見る眼がガラリと変わる
わたしたち編集者自身もそうですが、日頃から「なるほど知図帳」を何気なく読んでいるだけで、日々のニュースが見違えるほどクリアに理解できるようになります。また、ニュースを見て疑問に感じたことをすぐに「なるほど知図帳」で調べる習慣をつけると、疑問が解消するだけでなく分かったことが定着するようになります。やはり地図をベースにして解説が載っているので、出来事やテーマを立体的に理解できるのではないかと思いますし、なにより世界情勢は地理的な理解を前提にしないと本当に理解したとはいえないことも多いと思うのです。一家に一冊、もしくはテレビのある部屋には一冊ずつ常備していただいて一年間徹底的に活用していただきたいと思います(笑)。
視点のクロスオーバー「なるほど知図帳 世界」
わたしたちも普段は様々な書籍の制作にたずさわっているのですが、他の仕事をしていても、ふとその企画の背景に「なるほど知図帳」で取り上げたテーマが透けて見えて納得することがありますし、また別の仕事で得た知見を「なるほど知図帳」にフィードバックしたりすることもあります。
政治経済はもちろんですが、いまや普通に生活していても、環境問題や食品の安全性をはじめ海外の問題を意識する機会が増えました。“海外„ とひとくちに言っても、それは欧米だけでなく、アジア、アフリカ、中南米と、本当の意味で “全地球„ 的なスケールを示すようになっています。すべての現代人にとってますます密接な関わりを持つようになる世界の動向を、表現豊かなビジュアルで解説された情報と地図によって “立体的に把握する„ ことができる本書「なるほど知図帳 世界」は、世界的視野を必要とする21世紀の現代人すべてにとって、座右の書となること間違いないと思います。
株式会社アーク・コミュニケーションズ(東京・市ヶ谷)
ビジネス書、実用書、情報誌、ガイドブックなどを得意とする編集プロダクション。『なるほど知図帳 世界』『同 日本』をはじめ、『まっぷるマガジン 東京』『同 ソウル』『同 ハワイ』など、弊社発行のガイドブックを数多く手がけている。60名余の編集者を有し、機動力には定評がある。








